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2009年4月16日 (木)

原子力発電について その4 諸議論

利点

これ! 発電時に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない

*中東に大きく依存するガス、石油と違い、ウラン供給国は政情の安定した国が多い(原発のあとに書こうと思っている風力、太陽光はそれこそ国産なんだけど… しかも、両方共に二酸化炭素を排出しない)

*酸性雨や光化学スモッグなど大気汚染の原因の窒素酸化物や硫黄酸化物を排出しない(これも同上)

*発電コストに占める燃料費の割合が低いため、燃料価格が上昇しても発電コストが上昇しにくい(この特性のある原子力発電をベース供給力に組み込むことで低コストの電力供給が可能になる)

*消費する燃料の重量・体積が小さいので、石油・石炭・ガスに比べて輸送や貯蓄が容易

*核燃料の交換頻度が低い、核燃料物質の入手ルート・価格が確立安定しているなどで、化石燃料発電に比べて安定した電力供給ができる

経済性が高い(ただし、この場合、廃炉や放射性廃棄物の半永久管理に関するコストは、現状では見積もり不可なので考慮されていない)

*資源の乏しい国でも、再処理技術(=核燃料サイクル)の確立で核燃料物質の入手の制約が緩和できる

技術力の国際的アピール(原発技術の海外への売り込みができる)

*海水からのウラン採取が実現すれば燃料はさらに豊富になる(技術はすでに存在する)

*原発設置による、地元の雇用や電源三法交付金(電源立地地域対策交付金ほか)・固定資産税・法人税などの税収確保が期待できる

問題点

保険が限定的にしかかけられていない

 車の自賠責保険のような保険が原発にはかけられていない(火力発電にはかけられている)。日本の場合は、電力会社が「原子力保険プール」の「原子力損害賠償責任保険」に加入し原発1基あたりの最高補償額は600億円。(地震や社会的動乱は免責事項。限度額以上は国が保証)。この他、自動車の任意保険にあたる「原子力財産保険」に加入しておりこちらの補償額は1000億円。原発災害における損害額の試算は各国で算出されているが、その額の支払い能力のある保険会社は存在しない。リスク計算を行って出した保険料は膨大で電力会社が支払えない保険料額となる

原発稼働中に発生する放射線への対処が難しい

 発生する中性子線やガンマ線が施設で働く作業者の健康に有害となる可能性がある。放射化した施設が放出するガンマ線への対処の問題

*発電所内の作業者への膨大な熱量による危険性

 過去の原子力事故では、被曝以前に熱死や焼死のケースもあった

重大事故発生に伴う周辺環境への多大な被害と地球規模に及ぶ影響(例:チェルノブイリ)

放射性廃棄物の発生

放射性廃棄物の処分問題

 数十億年の長い半減期を持つ高レベル放射性廃棄物に対して、地下深くへの埋設処分や深地層処分が検討されているが、漏洩のリスクや地域住民の反対などにより、各国は(広大な国土を持つ米や露などを除き)、処分地確保に問題を抱えている。

原子炉の廃用の諸問題

 原子炉の解体処分は困難な問題であり、出来ても出来なくても長期に渡り廃炉を維持管理しなければならない。今後半永久的に発生する廃炉や放射性廃棄物の永続的な維持費用コストについて見積もりもなく、私たちの子孫にコストを付け回しているという問題がある

 原発の解体に必要な費用について…110万kW級の原発を解体した場合、放射性廃棄物として処理が必要な廃棄物は3%以下(低レベル放射性廃棄物として処分可能と想定)、残りの97%は一般産業廃棄物として処分可能と想定。その試算に基づいて廃炉費用の積み立てを「原子力発電施設解体引当金」として行っているが、電気事業連合会はその試算より多くの放射性廃棄物が発生するという理由で、想定額の2兆6000億円から2兆9000億円に膨らむとしている。すでに廃止措置が決まり解体している米国初期のメーンヤンキー原発では廃棄物の半分が放射能を帯びている結果となっている。2010年頃から本格化する原発老朽化による廃炉に伴う費用予測が正しい想定なのか疑わしいという意見もある。

高レベル放射性廃棄物の最終処分地が未決定

*発電施設、核廃棄物へのテロの危険

*ウラン資源の可採埋蔵量などの資源枯渇問題

 地殻中のウラン235のみの利用の場合、資源がそれほど豊富ではない

軍事転用の問題

 工程で発生する劣化ウランは劣化ウラン弾として使用可能

 核廃棄物はそのままで汚い爆弾として使用可能

 原発そのものが攻撃目標の可能性

 プルトニウムは濃縮を行えば原爆などに転用可能(ただしそれ専用の設備が必要)

*起動停止の所要時間が長い

 特性上、通常は負荷追従運転を行わない(日本)。

 運転停止による損失が非常に大きいため運転し続ける必要がある。需要の増減の調整能力がきわめて弱い。

停止中の炉心冷却問題

 現在の原子炉では運転停止中であっても残留熱除去系・余熱除去系による炉心の冷却が常に必要だが、地震等の苛烈な事故発生時の発電所外部電力・自家発電電力の喪失時には、最悪、炉心溶解の可能性がある

施設建設や周辺整備などに多大なコストがかかる

 火力発電と比べて、原発の設備・施設そのものはコスト高

 対応する揚水発電所の建設コスト

 反対運動への対応としての地元への見返り事業等にかかるコスト

 利用者・電力会社と施設周辺住民との利益・不利益が相応でない

*地方の寒村などに建設されることへの弊害

 生産地と消費地が離れて存在するため長距離送電の電力ロスが大きい、送電網のコスト、送電線での停電リスク

 原発建設地が遠いための諸問題(技術者を遠くから呼ばなければならない・事故などで被爆者が出た場合、遠くの病院まで搬送しなければならないなど)

地質学的側面からの立地場所の限定

 日本の原発の特徴で、海岸沿いに作られるため高波や台風やハリケーンの被害を直接うける

 原子炉を冷やすための大量の海水を温排水として海に戻した時の生態への悪影響への懸念等

*原発の運用や維持管理に必要な高度な技術

 後進国や発展途上国での原発建設の安全性への懸念

*原発の新規建設数が減少していることからのメーカーの原子力部門の技術の継承が困難になっている

 若手技術者の減少傾向、大学の原子力学科の閉鎖(経済面から)

唯一の原爆被爆国である日本では、放射能や放射線に対する嫌悪感や抵抗がつよく、建設予定地での住民の反対運動が頻発する

上の問題点の、『原発の新規建設数が減少していることからのメーカーの原子力部門の技術の継承が困難になっている。若手技術者の減少傾向、大学の原子力学科の閉鎖(経済面から)』については、洞爺湖サミットで宣言されたように、最近はまた世界中で原発推進の傾向にある。大学もまた、原発エネルギーに着目しつつあるので当てはまらない。(で、私はちょっと、原発推進の傾向を懸念したためにこれを書いている)

利点はまず、二酸化炭素や窒素化合物、硫黄酸化物などの有害物質を排出しないということ。特に今、世界中で問題とされている、地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出しないというのは、(火力発電では排出するので)原発のいい謳い文句になる。後は、安定した電気供給ができるということか…。技術力の売り込みなどもでき、どちらかというと、供給する側にとっての利点ということになる。

問題点は、事故が起こった時取り返しがつかない位の悪影響を人体と環境に及ぼすことと、そのため放射性物質を管理する様々な対処を、通常からきっちり施していなければならないことと、頻発する反対運動への対処など。問題点は、原発そのものの欠点ということになる。と思っている。

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