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2009年4月

2009年4月19日 (日)

電子力発電について その7 発電コスト

1kWhあたりの発電コスト(通商産業省資源エネルギー庁調べ)

原子力 5.9円

LNG火力 6.4円

石炭火力 6.5円

石油火力 10.2円

水力 13.6円    (…H11年)

この試算は漁業補償金や原子力の再処理、バックエンドコストを含んだものだが、地方交付金は含まれていない。原子力は、燃料費の割合が低いため燃料費の高騰による価格の高騰を招きにくい特性がある。…が、「原子力の発電コストは運転率80%を前提としており、安定連続発電を続けないとコストは幾何級数的に跳ね上がる」「事故や老朽化で廃棄された原子炉の最終処分までのコストやその後の半永久的な管理コストについての費用見積もりが十分に考慮されていない」というような意見もある。

2005年に特定非営利活動法人「原子力資料情報室」が発表した試算によると、運転年数40年の場合の1kWhあたりの発電コストは以下

原子力 5.73円

LNG火力 4.88円

石炭火力 4.93円

石油火力 8.76円

水力 7.20円

1kWhあたりの二酸化炭素排出量

電力中央研究所がH12年に発表した、発電所の建設から廃止までの試算は以下。

原子力 22グラム

LNG火力 608グラム

石炭火力 975グラム

石油火力 742グラム

水力 11グラム

(原子力は発電時の二酸化炭素排出は全くないが、建設・運用・廃止、輸送などに若干の排出が見られる。(水力も同じ)

発電所建設費の例

原子力 北海道電力泊発電所 約2926億円 91.2万kW出力(H21年12月運転予定)

天然ガス 伊千原発電所 約100億円 11万kW出力(H16年運転開始)

石炭 北陸電力敦賀火力発電所 約1275億円 70万kW出力(H12年運転開始)

水力 東京電力神流川発電所 約5250億円 270万kW出力(H23年運転予定)

風力 郡山布引高原風力発電所 約120億円 6.6万kW出力(H19年営業運転開始)

世界の原子力発電所開発状況

(2003 計画中も含む ()内は発電量 万kW)

米国 103基 (10243)

仏国  59基 (6613)

日本  53基 (5935)

露国  33基 (2556)

韓国  26基 (2452)

独国  18基 (2169)       世界合計:498基 (43549)

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2009年4月18日 (土)

原子力発電について その6 原発事故

炉心溶解

核分裂反応が連鎖している状態を臨界という。この連鎖が異常に高い効率で、核分裂が進むとすぐに核燃料内部が中性子であふれ、出来るだけ速やかにすべてのウラニウム235の原子核が核分裂する方向へ動く。制御を超えて一度に進む核分裂反応はエネルギーの発生も一度に起こり、発生する高熱と強力な放射線があたりに放たれる。これが核爆発。(核の暴走みたいなもんか)

ただし、現在の発電用原子炉で核爆発が起こる事は全く無く、起こりえる最悪の可能性は、進みすぎた核分裂反応による高温のために炉心が溶け落ちる炉心溶解である。

炉心溶解を避けるために、核燃料の精製度や量、形、配置、反射材、制御棒の高さ、静の圧力、ホウ酸の量、可燃性毒物の量などの調整により制御された範囲内で核分裂が進むようにしている。また、多少の調整のブレがあってもすぐには制御を離れないように最初から炉心での反応そのものが簡単には進まないようにしている。

以下にこれまでの原発事故の主なものをあげるが、つらつらとみてみるに、人災と施設の不備・欠点が主(ってそもそもこの二つしかないか)。施設の事故はまだ防げる可能性もあるが、人災は防ぎようがない。一度の事故で取り返しのつかない最悪な状況を引き起こす原発の永遠の課題。

軍事以外のこれまでの主な原発事故

1957年  ウラル核惨事プルトニウムを含む200万キュリーの放射性物質が飛散した。ソ連は当時、この事故を極秘としていた。放射性物質の大量貯蔵に伴う事故の危険性を知らせた事故。 

同年   ウィンズケール火災事故世界初の原子炉重大事故。炉心での減速材の過熱により火災が発生、16時間燃え続け多量の放射性物質を外部に放出した。避難命令が出なかったため、地元住民は一生許容線量の10倍の放射線を受け数十人がその後白血病死した。現在の白血病発生率は全国平均の3倍。

1961年  SL-Ⅰ事故…軍事用の試験炉で軍事基地の暖房としての出力もあった。当事者が死亡しており原因ははっきりとは分からないが、制御棒を運転員が誤って引き抜き原子炉の暴走が起きたと考えられた。事故で放出されたエネルギーは50MW秒、炉内の100万キュリーの約1%が放出された。事故当時の3人の運転員のうち2人は即死。生き残った一人を救急車で搬送しようとしたため、その救急車も放射能に汚染され放射性廃棄物として処理された。三人の死体は露出していた頭部などの汚染度が酷かったため、切断して高レベル放射性廃棄物として処理しなければならなかった。

1966年  エンリコ・フェルミ1号炉…米国の高速増殖炉試験炉。炉心溶解を起こし閉鎖された。炉心溶解事故の最初の例。

1979年  スリーマイル島原発事故炉心溶解事故レベル5の事故。不完全な設備保全、人間工学を重視していない制御盤配置、運転員の誤判断等が重なって発生した。この事故の影響で米政府は新規原発建設中止に追い込まれた。

1986年  チェルノブイリ原発事故…記憶に新しい事故。チェルノブイリ4号機が爆発・炎上し、多量の放射性物質が大気中に放出されたレベル7の深刻重大な事故事実上人類史上最悪の原発事故である。無許可での発電実験中、安全装置を切り制御棒をほとんど引き抜いたために出力が急上昇して起こった。世界規模で被爆した。この事故を契機に国際的な原子力情報の重要性が認識され、世界原子力発電事業者協会(WANO)が結成された。

(沸騰水型原子炉臨界事故)

1973年  バーモンドヤンキー原発…検査のため引き抜いていた制御棒の隣の制御棒を誤って引き抜き炉心の一部が臨界。

1976年  ミルストン原発…臨界状態。

1987年  オスカーシャム原発…制御棒の効果検査で引き抜いていたところ、想定外の臨界状態になり、運転員が気付かず臨界状態が続いた。

日本の主な事故(レベル2相当以上の事故)

1978年  東京電力福島第一原発事故日本初の臨界事故。戻り弁の操作ミスで制御棒5本が抜けた。沸騰水型原子炉で、弁操作の誤りで炉内圧力が高まり、制御棒が抜けるという本質的な弱点の事故。この情報は所内でも共有されず、所内、また他の原発でも繰り返された。本質的な弱点なので、世界中で起こっている可能性がある。事故は29年後に発覚、報告されたが、東京電力は「当時は報告義務がなかった」と主張。

1989年  同所…原子炉再循環ポンプ内部が壊れ、炉心に多量の金属粉が流出した。レベル2。

1990年  同所…主蒸気隔離弁を止めるピンが壊れ、原子炉圧力が上昇して「中性子束高」の信号で自動停止した。レベル2。

1991年  関西電力美浜原発事故主蒸気隔離弁の伝熱管の1本が破断し、非常用炉心冷却装置が作動した。レベル2。加圧水型原子炉特有の弱点である。この事故で、マスコミの連日のオーバーな報道によって加圧水型原子炉が沸騰水型原子炉に比べて危険なもののように印象付けられた。その後も、制御棒の搬入方法や日本特有の条件を無視して、スリーマイル島事故と合わせ「加圧~は沸騰水~より反応余裕度が少なく危険」と断じる評論家が多い。

同年   中部電力浜岡原発事故…誤信号により原子炉給水量が減少し、自動停止した。レベル2。

同年   同所…炉内圧力が高まり、制御棒が3本抜けた。中部電力は翌年に、マニュアルを改訂した。「国への報告はしなかったが他電力へ報告した」と主張。

1997年  動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化施設火災爆発事故…低レベル放射性物質をアスファルト固化する施設で火災発生・爆発。レベル2。

1999年  北陸電力志賀原発事故定期点検中に弁操作の誤りで炉内圧力が上昇し3本の制御棒が抜け想定外で無制御臨界になり、スクラム信号が出たが制御棒を挿入できず、手動で弁操作するまで臨界が15分続いた。スクラム用の窒素を全ての弁から抜いてあったというミスとマニュアルでの弁操作が開閉逆だったというのが原因。運転日誌への記載も本社への報告もなかった。レベル1-3。日本で2番目の臨界事故。この事故に関して一部マスコミで「沸騰水型の制御棒は下から挿入されるので、水圧が抜けると落下する危険がある」との誤報があったが、実際は「水圧装置の誤作動により引き抜き操作が行われたのであり、重力の影響で落下したのではない」ことに要注意。

同年   東海村JCO核燃料加工施設臨界事故日本で3番目の臨界事故。レベル4。

その他の有名な事故

1973年  美浜原発燃料棒事故…核燃料棒が折損する事故が発生。関西電力は公表せずに秘匿していた。内部告発。

1974年  原子力むつ…放射線もれ事故

1995年  動力炉・隔離弁開発事業団高速増殖炉もんじゅナトリウム漏洩事故…2次主冷系の温度計のさやが折れ、ナトリウムが漏洩、燃焼。レベル1。この事故で、もんじゅは10年以上経った2008年現在も停止したまま再起動の動きがあるのでは

1998年  福島原発…定期検査中、137本の制御棒のうち34本が50分間、全体の25分の1抜けた。

2004年  関西電力美浜原発2次系配管破損事故…2次冷却系のタービン発電機付近の配管破損により高温高圧の水蒸気が多量に噴出。作業員5名が熱傷死亡。

2007年  新潟県中越沖地震に伴う東京電力柏崎刈羽原発での一連の事故…発生した中越地震により、外部電源用の油冷式変圧器が火災を起こし、微量の放射性物質の漏洩が検出された。また、高波によって敷地内が冠水、使用済み燃料棒プールの冷却水が一部流出この事故により、柏崎刈羽原発は全面停止を余儀なくされた

(軍事事故は略)

さて、これを多いとみるか、少ないとみるか…。危険と言われる施設にしては意外と被害が少ないとみるか、一度起こったら取り返しがつかないとみるか。施設の保全をしっかりしていたら、少なくとも大事故にはならないと思うか。

やはり、中立な立場の複数の専門家たちの公平な目でみた意見がききたい。

世の中は原発推進に動いているのは間違いないのでは。特に日本は…。オバマ米大統領はグリーンニューディールで自然発電に力を入れようとしているけど、日本の電力会社は全然自然発電には乗り気ではないようだ。

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2009年4月16日 (木)

原子力発電について その5 公正な評価の難しさ

原発において様々な評価をする場合、極めて高い専門性が必要となる。

日本では、原子力発電の研究者の多くが電力会社、発電プラントメーカー、原子力関連産業、原子力関連機関で働いているか、国の核開発予算から研究助成金を受け取っている大学教授などである。したがって日本政府の原子力政策に対して、批判的な発言をしたり、この政策に不利となるデータを出すことはかなり困難であると推察できる。

一方、原発反対派の発言においても専門知識の欠如に起因すると思われる事実誤認や公平性に欠けていると思われる偏った視点での分析がなされていたり、情緒的議論に流れがちである。

学者に言葉をつくされて「危険じゃない、大丈夫だ」って言われれば、そしてそれが分かり易く納得できるように組み立てられた理論で、その恩恵を被る立場であれば、受け入れるかもしれない。

御用学者だからという理由で根拠がないまま全てを疑ってかかるのはすっきりしない。如何なものか。

問題点にあったように万が一の時の、取り返しのつかない、甚大な被害と汚染は紛れもない事実だと思う。ただ、それがどの位の確立で起きるものなのか、とか、問題点か利点(利益)かどちらを重視するかで反対か推進か分かれるのだろうな…。

この問題は、(まぁどの問題でもそうだけど)いつまでたっても平行線です。だから、持論で戦うしかないのか。上記の文章につきると思う。

誰か、公平な立場の専門家を紹介してくれないかな~。公平な視点で見てみたいと切に思う。

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原子力発電について その4 諸議論

利点

これ! 発電時に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない

*中東に大きく依存するガス、石油と違い、ウラン供給国は政情の安定した国が多い(原発のあとに書こうと思っている風力、太陽光はそれこそ国産なんだけど… しかも、両方共に二酸化炭素を排出しない)

*酸性雨や光化学スモッグなど大気汚染の原因の窒素酸化物や硫黄酸化物を排出しない(これも同上)

*発電コストに占める燃料費の割合が低いため、燃料価格が上昇しても発電コストが上昇しにくい(この特性のある原子力発電をベース供給力に組み込むことで低コストの電力供給が可能になる)

*消費する燃料の重量・体積が小さいので、石油・石炭・ガスに比べて輸送や貯蓄が容易

*核燃料の交換頻度が低い、核燃料物質の入手ルート・価格が確立安定しているなどで、化石燃料発電に比べて安定した電力供給ができる

経済性が高い(ただし、この場合、廃炉や放射性廃棄物の半永久管理に関するコストは、現状では見積もり不可なので考慮されていない)

*資源の乏しい国でも、再処理技術(=核燃料サイクル)の確立で核燃料物質の入手の制約が緩和できる

技術力の国際的アピール(原発技術の海外への売り込みができる)

*海水からのウラン採取が実現すれば燃料はさらに豊富になる(技術はすでに存在する)

*原発設置による、地元の雇用や電源三法交付金(電源立地地域対策交付金ほか)・固定資産税・法人税などの税収確保が期待できる

問題点

保険が限定的にしかかけられていない

 車の自賠責保険のような保険が原発にはかけられていない(火力発電にはかけられている)。日本の場合は、電力会社が「原子力保険プール」の「原子力損害賠償責任保険」に加入し原発1基あたりの最高補償額は600億円。(地震や社会的動乱は免責事項。限度額以上は国が保証)。この他、自動車の任意保険にあたる「原子力財産保険」に加入しておりこちらの補償額は1000億円。原発災害における損害額の試算は各国で算出されているが、その額の支払い能力のある保険会社は存在しない。リスク計算を行って出した保険料は膨大で電力会社が支払えない保険料額となる

原発稼働中に発生する放射線への対処が難しい

 発生する中性子線やガンマ線が施設で働く作業者の健康に有害となる可能性がある。放射化した施設が放出するガンマ線への対処の問題

*発電所内の作業者への膨大な熱量による危険性

 過去の原子力事故では、被曝以前に熱死や焼死のケースもあった

重大事故発生に伴う周辺環境への多大な被害と地球規模に及ぶ影響(例:チェルノブイリ)

放射性廃棄物の発生

放射性廃棄物の処分問題

 数十億年の長い半減期を持つ高レベル放射性廃棄物に対して、地下深くへの埋設処分や深地層処分が検討されているが、漏洩のリスクや地域住民の反対などにより、各国は(広大な国土を持つ米や露などを除き)、処分地確保に問題を抱えている。

原子炉の廃用の諸問題

 原子炉の解体処分は困難な問題であり、出来ても出来なくても長期に渡り廃炉を維持管理しなければならない。今後半永久的に発生する廃炉や放射性廃棄物の永続的な維持費用コストについて見積もりもなく、私たちの子孫にコストを付け回しているという問題がある

 原発の解体に必要な費用について…110万kW級の原発を解体した場合、放射性廃棄物として処理が必要な廃棄物は3%以下(低レベル放射性廃棄物として処分可能と想定)、残りの97%は一般産業廃棄物として処分可能と想定。その試算に基づいて廃炉費用の積み立てを「原子力発電施設解体引当金」として行っているが、電気事業連合会はその試算より多くの放射性廃棄物が発生するという理由で、想定額の2兆6000億円から2兆9000億円に膨らむとしている。すでに廃止措置が決まり解体している米国初期のメーンヤンキー原発では廃棄物の半分が放射能を帯びている結果となっている。2010年頃から本格化する原発老朽化による廃炉に伴う費用予測が正しい想定なのか疑わしいという意見もある。

高レベル放射性廃棄物の最終処分地が未決定

*発電施設、核廃棄物へのテロの危険

*ウラン資源の可採埋蔵量などの資源枯渇問題

 地殻中のウラン235のみの利用の場合、資源がそれほど豊富ではない

軍事転用の問題

 工程で発生する劣化ウランは劣化ウラン弾として使用可能

 核廃棄物はそのままで汚い爆弾として使用可能

 原発そのものが攻撃目標の可能性

 プルトニウムは濃縮を行えば原爆などに転用可能(ただしそれ専用の設備が必要)

*起動停止の所要時間が長い

 特性上、通常は負荷追従運転を行わない(日本)。

 運転停止による損失が非常に大きいため運転し続ける必要がある。需要の増減の調整能力がきわめて弱い。

停止中の炉心冷却問題

 現在の原子炉では運転停止中であっても残留熱除去系・余熱除去系による炉心の冷却が常に必要だが、地震等の苛烈な事故発生時の発電所外部電力・自家発電電力の喪失時には、最悪、炉心溶解の可能性がある

施設建設や周辺整備などに多大なコストがかかる

 火力発電と比べて、原発の設備・施設そのものはコスト高

 対応する揚水発電所の建設コスト

 反対運動への対応としての地元への見返り事業等にかかるコスト

 利用者・電力会社と施設周辺住民との利益・不利益が相応でない

*地方の寒村などに建設されることへの弊害

 生産地と消費地が離れて存在するため長距離送電の電力ロスが大きい、送電網のコスト、送電線での停電リスク

 原発建設地が遠いための諸問題(技術者を遠くから呼ばなければならない・事故などで被爆者が出た場合、遠くの病院まで搬送しなければならないなど)

地質学的側面からの立地場所の限定

 日本の原発の特徴で、海岸沿いに作られるため高波や台風やハリケーンの被害を直接うける

 原子炉を冷やすための大量の海水を温排水として海に戻した時の生態への悪影響への懸念等

*原発の運用や維持管理に必要な高度な技術

 後進国や発展途上国での原発建設の安全性への懸念

*原発の新規建設数が減少していることからのメーカーの原子力部門の技術の継承が困難になっている

 若手技術者の減少傾向、大学の原子力学科の閉鎖(経済面から)

唯一の原爆被爆国である日本では、放射能や放射線に対する嫌悪感や抵抗がつよく、建設予定地での住民の反対運動が頻発する

上の問題点の、『原発の新規建設数が減少していることからのメーカーの原子力部門の技術の継承が困難になっている。若手技術者の減少傾向、大学の原子力学科の閉鎖(経済面から)』については、洞爺湖サミットで宣言されたように、最近はまた世界中で原発推進の傾向にある。大学もまた、原発エネルギーに着目しつつあるので当てはまらない。(で、私はちょっと、原発推進の傾向を懸念したためにこれを書いている)

利点はまず、二酸化炭素や窒素化合物、硫黄酸化物などの有害物質を排出しないということ。特に今、世界中で問題とされている、地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出しないというのは、(火力発電では排出するので)原発のいい謳い文句になる。後は、安定した電気供給ができるということか…。技術力の売り込みなどもでき、どちらかというと、供給する側にとっての利点ということになる。

問題点は、事故が起こった時取り返しがつかない位の悪影響を人体と環境に及ぼすことと、そのため放射性物質を管理する様々な対処を、通常からきっちり施していなければならないことと、頻発する反対運動への対処など。問題点は、原発そのものの欠点ということになる。と思っている。

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2009年4月15日 (水)

原子力発電について その3 現状

世界のエネルギー消費と原発

2004年の実績では、世界中のエネルギーの3.5%、世界の電力の15.7%が原発で供給、米国、日本、仏国で、世界中の原子力による電力の57%が発電されている。

2007年には、世界中で435基の原子力動力炉が、31カ国で運転されている(国際原子力機関報告)。

米国の原子力発電量は多く、国内総電力の約20%が原子力発電。仏国に至っては、2006年の実績では80%もの電気エネルギーを原子炉から得ている。欧州連合全体では、電力の30%が原子力エネルギー。日本も総電力の約30%を原子力エネルギーから得ている。

原子力政策は欧州連合加盟の各国で温度差があり、いくつかの加盟国やオーストラリア、アイルランドには稼働中の原発はない。反対に、仏国では59基の原発が稼働しており、火力を含めた総電力の18%をイタリア、イギリス、ドイツに輸出している。(2007)

原発発電が盛んな国では、原発発電量が余剰となる夜間電力を使って電力輸出入を活用していることが多い。仏国の場合、ヨーロッパ中に張り巡らされた送電網で電力輸出入がされている。

将来に向けての研究で「本質的に安全な電子力発電プラント」や核融合炉の開発、高温電気分解による海水淡水化、地域の暖房供給などの研究が続けられている。

原発の今後

現在、世界には、エネルギー源としての原子力の利用を削減・廃止していこうとする流れと利用推進という二つの流れがある。前者の主な国は、ベルギー、ドイツなど。

イタリアは、1987年に原子力発電からの脱却が政策化されたが、2007年に「国際原子力パートナーシップ」への参加を表明、2009年には原子力発電大国の仏国と原子力協力協定を締結、国内に4基の原発を新設するなど脱原発の流れが見直されつつある。

スウェーデンでは、2009年、29年前に国民帳票で決定した原子力発電所の全廃方針を見直し、新規建設を進めることを決定した。温暖化対策で石油依存の急減が急がれる中、世論が原発容認へと変化したため。29年前は28%だった原発依存率は、2008年には47.1%になっていた。同国では、現在10基の原子炉が稼働している。

米国は、2006年に輸入化石燃料への依存量を減らすなどの目的を持つ「国際原子力パートナーシップ」を、日本、仏国、中国、ロシアなどとの協力によって推進していくことを発表した。2007年には、先のイタリアをはじめとして、オーストラリア、ブルガリア、ガーナ、ハンガリー、ヨルダン、カザフスタン、リトアニア。、ポーランド、ルーマニア、スロヴェニア、ウクライナ、カナダ、韓国が参加を表明。核燃料サイクルと高速中性子炉などの第4世代原子炉がこの計画の中心となる。

2008年の洞爺湖サミットの宣言文には、原油価格高騰への対応策として、「原子力を含む技術の採用及び利用を促進する。」という文言で原子力発電の拡充を世界的に推進することが盛り込まれた。

日本の現状

各電力会社での全発電量に占める原子力発電比率(2000年度)は、北海道電力29%、東北電力15%、東京電力45%、中部電力23%、北陸電力18%、関西電力53%、中国電力15%、四国電力48%、九州電力52%、沖縄電力0%(NEDO資料)。

増え続ける使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの処分方法とウラニウムの輸入量を減らすための解決策として、高速増殖炉計画が推進されていたが、技術的な困難さのためにとん挫した(否、これはまたもんじゅが再開されようとしていないか?)。現在はMOX燃料によるプルサーマル計画が進められているがこれには賛否両論が存在している(佐賀県の古川県知事が玄海原発でのプルサーマル発電を了承した。反対派がこの最初のプルサーマル発電計画を止められなかった影響は大きいと私は思う。この後、福井県の西川県知事が高浜原発でのプルサーマル発電への事前了解を、静岡県の石川県知事が浜岡原発での計画に事前合意を示し、なし崩し的に着実にプルサーマル発電計画は進んでいる)

2004年、日本における電気量の約30%を原子力が担っている。

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原子力発電について その2 歴史

原発の歴史

1951年…米国の高速増殖炉で初めて原子力発電が行われた。この時の量は200ワットの電球を4個灯しただけであった。

1953年…アイゼンハワー大統領が、国連総会で「原子力平和利用に関する提言"Atoms for Peace"」を行った。核兵器だけに使用されてきた核の力を、原子力発電という平和利用に向けるという大きな政策転換であった。

1954年…受けて、米国では原子力エネルギー法が修正され、アメリカ原子力委員会(AEC)が原子力の推進と規制の両方を担当することとなった。

同年 …ソ連(当時)のオブニンスク原子力発電所が、実用としては世界初の原子力発電を開始し、5MWの発電を行った。

1955年国連のジュネーブ会議(科学者と技術者の集会)が開催され、原子技術の発展について討論した。

1956年…英国に、世界最初の商用原子力発電所コルダーホール発電所が完成した。出力は50MW。

1957年…米国では、シッピングポート発電所が米国発の商用原子力発電所として完成した。

同年 …EEC諸国によりユートラム発足。国際原子力機関発足。

……ところで、原子力発電初期のキャッチフレーズは、"Too cheap To meter"であった。この意味は『原子力発電で作った電気はあまりに安すぎるので、計量する必要がないほどだ』。原子力発電はそれほど安く大量に電気を供給できるものと期待されていたが、1973年に発生した第一次石油危機以降の建築費の高騰が原発推進に大きく影響した。(原発は他の発電に比べ、設備費の割合が非常に大きい) このため……

1974年…建設費高騰で、原発のコストが石炭火力発電のコストより高くなったため、米国では原子力発電の開発がストップした。建設予定の74基(うち28基は着工済みだった)がすべて中止された。

同年 …推進と規制の両方を担当していたアメリカ原子力委員会は廃止、推進をエネルギー研究開発管理部が、規制を原子力規制委員会が担当することになった。

1977年…米国で、民主党のカーター政権が、「核拡散防止」を目的としてプルトニウムの利用を凍結する政策を発表した。これにより、米国では、高速増殖炉の開発と核燃料サイクルが中止された。これ以降、米国では核燃料は再処理されず、基本的にワンスルー利用となった。この政策は、日本の原子力政策に大きな影響を与えた。

1979年スリーマイル島原子力発電所事故発生。この事故は、世界の原子力業界に大きな打撃を与えた。

日本における原発の歴史

1954年…当時、改進党に所属していた中曽根康弘、稲葉修、川崎秀二により原子力研究開発予算が国会に提出された。これが日本における原発の起点。

1955年原子力基本法が成立し、原子力利用の大網(方針:「民主・自主・公開」)が定められた。

1956年…受けて、原子力委員会が設置された。初代委員長は正力松太郎(読売新聞社社主)氏。

同年 日本原子力研究所(現:独立行政法人日本原子力研究開発機構)が特殊法人として設立され、茨城県東海村に設置された。これ以降、東海村が日本の原子力研究の中心となっていく。

1957年…原子力委員会委員長正力氏は、『原子力平和利用懇談会』を立ち上げ、さらに同年発足した科学技術庁の初代長官となり、日本の原子力導入に大きな影響力を発揮した。

同年 電気事業連合会加盟の9電力会社および電源開発の出資により日本原子力発電株式会社が設立された。

1963年…東海村に建設された実験炉で最初の発電が行われた。

……ところで、日本初の商用原発は東海村にガス冷却炉が作られた。運営主体は日本原子力発電。ガス冷却炉は、経済性の問題からこの1基にとどまり、これ以降はすべて軽水炉となった。

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原子力発電について その1 原発って?

某生協にいた時は、脱原発だった。なにがなんでも、不勉強でも脱原発だった。学習会も、原発の危険性とか問題点からの学習だった。事故が起こってしまってからでは遅いのだという…。メリットの話はなかった。

日本における原子力発電は、もんじゅ等の事故でマスコミや原発反対運動が活発になりやや下火になっていた。…が、ここにきて、また注目されつつある。理由の一つが、地球温暖化問題で二酸化炭素削減が言われるようになってきており、原発は二酸化炭素を排出しないからだ。

で、(基本的には反対なので、だからこそ)某生協から離れた今、もっと公平な視点で原発みてみようと思う。

そもそも原子力発電って??   …まずそっから理解してみたい。理解するために書きだしていきます。Wikipediaからです。

原子力…原子核が反応することで得られるエネルギー(核エネルギー)のこと。原子核反応には、核分裂反応とその反対の核融合反応の二種類あり、現在エネルギーとして実用化されているのは核分裂反応エネルギーのみ。

核分裂反応…中性子を捕捉した(捕まえた)原子が二つ以上に分裂することをいう。この時その原子が中性子を放出し、その中性子がまた別の原子に捕捉され、中性子を捕獲したその原子が分裂を起こし、そこからまた中性子が放出され…という分裂の連鎖反応が起きる。その連鎖反応により核分裂が持続している状態を臨界という。

で、原子力発電…核分裂反応時に出るエネルギーを利用した発電のこと。

原子力発電には、大きく分けて三つの要素が必要である。 ①核分裂反応を起こす元となる核燃料、②分裂反応を起こさせる入れ物の原子炉、③その原子炉から取り出した熱で発電をおこなう発電施設

核燃料…核燃料は天然鉱石である閃ウラン鉱から作られる。閃ウラン鉱に含まれるウランの放射性同位体であるウラン235は、容易に核分裂を起こすため、核燃料として原子力発電に用いられている。が、閃ウラン鉱にはウラン235が0.7%程度しか含まれていない為、現在の原子炉で核燃料として利用するにはウラン濃縮工程という濃縮作業が必要となる。

……ところで、原子には中性子を捕捉して分裂するものと、補足しても分裂しないものがある。分裂するものの代表は、ウラン235、プルトニウム239であるが、プルトニウム239は天然にはごく微量にしか存在しないため、原子力発電の核燃料としてはウラン235が使われている。分裂しないものとしては、ウラン238がある。しかしこのウラン238は、中性子を捕捉するとプルトニウム239に転換できるので、ウラン238に人為的に中性子をあてて、プルトニウム239を生産することが考えられた。これを核燃料サイクルといい、このプルトニウムの生産に使われる原子炉を高速増殖炉という。かの悪名高い「もんじゅ」がこれ。

……原子力発電の核分裂反応において必要なことは、核分裂反応を制御すること。核分裂反応の制御とは、「開始」「持続(臨界)」「停止」であり、この三つを自由に制御できるということが原子力発電と原子爆弾を分ける大きな違いである。

原子炉…中性子の制御をおこなう減速材という素材と、原子炉から熱を運び出す冷却材という素材の二つで分類されるが、この二つには色々な種類がある。減速材としては黒鉛・重水・軽水など、冷却材としては炭酸ガスや窒素ガスなどのガス・重水・軟水などがある。現在の一般的な商用原子力発電はどちらも軽水を使用しているので、軽水炉と呼ばれている。この軽水炉はさらに「沸騰水型原子炉(BWR)」と「加圧水型原子炉(PWR)」の二種類に分けられる。

で、原子力発電…核分裂反応時に出るエネルギーを利用した発電のこと。核分裂反応で発生するエネルギー(熱)を使って水を沸騰させ、その蒸気で蒸気タービンを回すことで発電機を回して発電する。(火力発電は石油や石炭、液化天然ガスなどの化石燃料を燃やして熱を作り蒸気を発生させ発電する。つまり原子力発電も火力発電も蒸気で発電するという点で同じ仕組みを利用しているといえる)

……ところで、原子力発電所には冷却塔というものが必要である。蒸気による発電は、発生した熱のすべてを発電に利用できず、必ずある程度の廃熱が発生してしまうので、この冷却塔で廃熱を水蒸気として外部へ排出する。現在の原子力発電の熱効率は約30%。つまり発生した熱の30%程度しか発電に利用できないということ。一部の原子力発電所は、海や川のそばに建設し、熱を温水の形で海や川に排出することで冷却塔を省いている。日本の原子力発電所はすべてそう。つまり、原発は海や川のある地域にある()。

火力発電所との違い…先に、発電の仕組みは同じ(蒸気タービンによる発電方式)と記したが、厳密には違いがある。原子力発電所の特徴は気体・液体・固体の放射性廃棄物処理設備や放射線を検出するための環境センサー類、放射線管理区域の出入りを管理する設備を有することである。

次に、蒸気の違い…原子力発電所の蒸気は火力発電所よりも温度・圧力が低く設計されているので、火力発電に比べ熱効率が劣る。低く設計している理由として、核燃料棒に使われているジルコニアが高温に弱いため、一次冷却水を高温にできないことによる。火力発電に使われている、熱を効率よく運ぶことのできる超臨界蒸気(液体と気体の性質を持った非常に濃厚な蒸気)は高温高圧状態が必要なため原発では使用できないことになる。

タービンの違い熱効率は入出力の温度差によって決まるため、熱効率を上げるには発電に使用する蒸気の温度を高くすることが必要であるが、原発においては上記の理由で限界であり、今以上に熱効率を上げることは不可能。因みに、タービンの回転数は、原発は火力に比べ1/2。

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