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2008年12月15日 (月)

国籍法改正

朝日新聞 時時刻刻より

国籍法改正、残る火種

日本の父と外国人の母を持つ「婚外子」の日本国籍取得要件を緩和する国籍法改正案が、5日の参院本会議で可決、成立する。最高裁の違憲判決を受けた法改正とはいえ、「偽装認知」を懸念する声もあり、新制度は火種を抱えたままのスタートとなる。

反対メール 揺れた議員

「委員長、しっかりしてください」。4日の参院法務委員会。国籍法改正案が可決される直前、自民、民主、公明3党が提案した付帯決議案に不満を持つ自民党の委員が発言しようとすると、「円満決着」を図る民主党の委員らが公明党の沢雄二委員長に採決を促した。この自民党委員は発言をあきらめ、委員長は「ご意見もないようですから」と淡々と議事を進めた。

国籍法改正に慎重な意見が高まったのは、全会一致で衆院を通過した18日の直前。自民党議員を中心に、「偽装認知」を懸念する100人近い衆参両院議員が17日、議員連盟(代表:平沼元経産相)を結成、DNA鑑定の義務化や偽装認知の罰則強化などを求める声をあげた。

しかし、採決を急ぐ自民党は、衆院法務委での採決にあたり、反対派委員に「反対するなら委員を交代させる」と警告。衆院本会議の採決では、同党所属議員の数人が棄権した。

参院に審議の場が移ると、慎重論は野党民主党にまで拡大。同党の議員総会などでは、「衆院の審議は不十分」「参院は再考の府だ」といった意見が続出。急きょ、党内向けの勉強会を1日に開き、制度への理解を求めた。

議員らの動揺を誘ったのが、反対派市民から連日、与野党の幹部や所属議員に大量に寄せられたメールとファックスだ。偽装認知による国籍売買を防ぐため、DNA鑑定の義務づけなどの法案修正を求める内容。中には「日本が乗っ取られる」「伝統が破壊される」との排外主義的な主張もあるが、住所、氏名を記し、匿名の無責任な訴えと一線を画そうとするものが目立った。

ただ、法務省幹部が衆院法務委で「ネットで国籍法改正案に反対しようという呼びかけがあり、それが最初だったようだという情報は得ている」と答弁したような背景もある。

実際、法務委のメンバーや各党の国会対策委員長、民主党の若手議員らの連絡先一覧や反対のポイントを載せ、メールやファックスを送るよう呼びかけるウェブサイトも登場した。

国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの鈴木謙介研究員は「ネットの世界では組織的な動きが盛んになり、『目立つ意見が多数意見』という印象を持たれることがある。意見の表明は市民運動の基本で、否定すべきものではないが、意見を受け止める側に世論全体を冷静に読み取る力が求められる」と指摘する。

広がる慎重論を受け、参院での採決はずるずる先送りされたが、混乱拡大を危ぶむ自民、公明、民主3党が11月27日で法務委での質疑を終了させ、DNA鑑定の必要性の検討などを盛り込んだ付帯決議案を3日にまとめ、事態を収拾した。結局、委員会での審議時間は、衆院が1日約3時間、参院が2日約7時間だった。

「偽装申請」新たに罰則

法改正のきっかけは、今年6月の最高裁の違憲判決だった。日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた子どもたちが起こした訴訟で、最高裁は、「両親の結婚」で国籍取得に差を設けるのは「法の下の平等に反する」と判断。家族や親子関係の多様化や、父の認知があれば国籍を認める国が増えたことを理由に挙げた。

改正前は、父の認知が「出生前」なら日本国籍を認めたが、「出生後」なら両親が結婚しないと認めないことになっていた。「認知と結婚で日本との結びつきが強まる」との考え方だ。戦後8件目という違憲判決の重みを踏まえ、法務省は「結婚要件」を外す改正作業に着手した。

法務省のサンプル調査による推計では、法改正で国籍取得の条件を満たすのは年間600~700人。国内在住者だけでなく、母の国で暮らす子も申請できるようになる。最高裁判決が遅くとも03年2月から違憲状態としたため、同年1月以降要件を満たす子は、さかのぼって認める。

法改正を待ち望んだフィリピン人のエルサ・ウィさん(37)は11月20日、さいたま市内の法務局で4歳の長男ショウ君の国籍を申請した。「子どもには何の責任もない。差別は残るかもしれないが、日本人として自信を持って生きてほしい」と話す。

父親は、かつて働いていた飲食店の客。「妻と別れて再婚する」という約束は果たされなかったが、ショウ君を認知した。その直後に最高裁判決が出て、エルサさんは思わず息子を抱きしめて泣いた。

違憲判決を受けたことで、こうした事例が救われること自体に異論はない。それでも土壇場で改正に慎重論が相次いだ背景には、就労目的などで外国人が日本人と偽装結婚し、配偶者として合法的な滞在資格を得る事件が相次いでいる事情がある。

これまで必要だった結婚という「ハードル」がなくなれば、不法就労を目的とする外国人の間で「偽装認知」が横行するのではないか―――。そんな心配が広がった。

そのため、改正法は虚偽の国籍届出に1年以下の懲役か20万円以下の罰金という罰則を新設。不正な国籍取得に基づいて戸籍をつくれば公正証書原本不実記載罪にも問われ、最高で7年6か月の懲役刑となる。偽装が発覚すれば、国籍は取り消される。

本当に「偽装認知」は増えるのか。ある捜査関係者は「疑われてDNA鑑定をされたら一発で見破られる。子どもも用意しないといけないから、偽装結婚より手間もかかるのでは」と否定的だ。

一方、国会で議論されたDNA鑑定の義務付けには、法務省は消極的だ。外国人の子の認知だけに導入すると新たな差別になりかねないし、検体が本物と確認するのは困難だ。ある法務省幹部は語る。

「悪用も一部に出てくるとは思うが、厳しくしすぎて悪意のない子どもまで国籍を得られない事態は避けたい」

産経新聞(12月5日22時34分配信)では、

「改正国籍法成立 不法滞在や人身売買懸念など課題残し見切り発車」との見出しでさらに強い懸念を示している。下記。

5日成立した改正国籍法は、偽装認知による不法滞在や人身売買など、闇ビジネスの温床となりかねないとの懸念が十分に払拭(ふつしよく)されないままで、スタートすることになった。今後は、警察や法務当局による厳正な法執行・運用が求められるが、犯罪抑止が担保されるかは不透明だ。また、将来的には重国籍の容認への道を開くとの指摘もあり、施行後の経過を注視していく必要がある。(阿比留瑠比、原川貴郎)

今回の法改正は最高裁が今年6月、「父母の結婚」を国籍取得の要件とした国籍法は、法の下の平等を定めた憲法違反だと判断したことを受けたものだ。このためか、政府や公明党は「初めに法改正ありき」で突っ走ったように見える。

だが、過去には最高裁判決(昭和48年)が出てから刑法改正(平成7年)までに22年を要した尊属殺人罪の削除の例もある。「生命倫理上の問題も内包する法案に対する稚拙な国会運営は大いに疑問だ」などと国民新党が指摘するように、拙速感は否めない。

また、「最高裁判決では嫡出子と非嫡出子を差別することの違憲性が問われただけなのに、改正法では実子ではなくても、日本人男性が認知さえすれば日本国籍の取得が可能になる。これは判決の趣旨から外れている」(百地章・日大教授)との指摘もある。

国会審議では、4日の参院法務委で付帯決議の趣旨を確認しようとした丸山和也氏(自民)の発言を、法改正を推進してきた公明党の沢雄二委員長が無視し、「別にご意見もないようだから」と強引に採決に移る場面もあった。偽装認知を防ぐため、父子認知にDNA鑑定を導入すべきだとの意見も複数議員から出たが、議論が深まる前に質疑時間は終了した。

一方、自民、民主両党は条文ではなく、付帯決議で組織的な偽装認知を防止する方法を取った。だが、付帯決議は法的拘束力のない努力目標にすぎない上、父子が一緒に映った写真の提出を求めるという内容も、合成写真が簡単に作成できる現在、実効性は疑問視されている。

 さらに、法改正によって重国籍者の増加が見込まれる点に関し、衆院法務委は付帯決議で「わが国におけるあり方について検討を行う」としている。国籍法は、22歳に達するまでに国籍を選択することを定めているが、保守系の議員からは「多数の重国籍者が裁判に訴え、『重国籍を認めないのは差別だ』などと主張すれば、新たな法改正と重国籍容認に道を開きかねない」との指摘がある。「そうなれば参政権も与えられる。例えば韓国との重国籍者が大挙して長崎県対馬市に移り住み、選挙権を行使したらどうなるのか」(自民党中堅議員)といった懸念も出ている。

 有志議員らは3日、「国籍問題を検証する議員連盟」(会長・平沼赳夫元経済産業相)を結成し、不正な国籍取得防止のためのチェック体制の構築や重国籍対策などを検討していくことを決めた。国籍問題は、国の根幹にかかわるだけに、時間をかけた真(しん)摯(し)な議論が続けられるべきだ。
さらに産経新聞
不正な国籍取得を防止するため、虚偽の届け出をした者に1年以下の懲役か20万円以下の罰金を科す規定を新設したが、罰則規定だけでは、金銭を日本人男性に支払い虚偽の認知をしてもらう「偽装認知」が横行しかねないとして、与野党の一部議員から慎重意見が出ていた。 このため自民、民主両党は、参院法務委員会で(1)国籍取得届け出状況を半年ごとに国会に報告(2)父子関係の科学的な確認方法を導入する当否を検討-などを盛り込んだ付帯決議を採択したが、付帯決議では不十分だとする声も根強く、国民新党の自見庄三郎副代表は、参院本会議後、「偽装認知を防ぐためDNA鑑定導入を法文に明記すべきだ」と語った。新党日本の田中康夫代表は「生命倫理の問題だ。(反
対は)民主党の小沢一郎代表も理解している」と述べた。
こんなことも
「この中で、国籍法改正案を全部理解している人は手を挙げてください」 20日昼の自民党津島派の総会で、戸井田とおる衆院議員はこう呼びかけたが、手を挙げた議員は1人もいなかった。改正案は国会議員も内容をよく把握しないまま、成立へと向かって突き進んでいるようだ。改正案は今月4日に閣議決定されたが、国会議員らが問題点や危険性に気付いたのはその後のことだった。無所属の平沼元経済産業相は19日の「国籍法改正案を検証する会合に賛同する議員の会」で、こんなエピソードを紹介した。
「現役閣僚から『とんでもない法律が通りそうだから何とかしてくれ』と電話があった。『あなたはそれに閣議でサインしたんだろう』と言ったら、『流れ作業で法案の中身は分からなかった』と話していた」自民党では、改正案が衆院を通過した18日の役員連絡会や参院執行部会で問題指摘が相次いだ。執行部会では、国対幹部が「運用で(犯罪に)歯止めをかけていく工夫が必要だ」と述べ、尾辻秀久参院議員会長も「もう一度検討した方がいい」と語ったが、成立の流れを押しとどめるまでには至っていない。一方、民主党の改正案を問題視する議員からも「うちの法務部会(部門会議)も、『次の内閣』会合も通っちゃっているんだよな」との嘆息が漏れている。

なんというザマ!!!

なにが、日本の国益や国民のために大事なことか。

政治家は、自分たちがしなければならないことをもっと真剣に考えてほしいと切に願う。

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